不動産会社のDX化!弊社はIT重説、電子契約対応済み!(課題編)
時間と距離を短縮する不動産のDXとは。
デジタルトランスフォーメーション(DX)の効果は、不動産業界にも大きな変化を与えています。
今までは、売主様、買主様、仲介会社、融資銀行、登記移転を担当する司法書士、これらの方々が相対で対応し、信頼関係を築きながら双方成約に向けて書類の作成、足繁く訪問、打ち合わせすることが不動産屋さんのイメージかと思います。
現状の課題としては、
1.売主・買主様の忙しい時間の中で、日中に打ち合わせする時間がなかなか取れない
2.物件が遠方、売主様、買主様が遠方、仲介会社も遠方で関係者が集まる日程調整が困難
3.海外在住の外国人が日本の不動産を海外から買付
4.法令上、宅建士は重要事項説明を原則対面、同時間における双方向応答が必要。賃貸契約、売買契約締結は自著、実印で押印。印紙の貼付が必要。
上記は、弊社が昨年対応した実例です。
誰しも、時間や遠方への移動したものの、成果に結びつかないことは時間と費用の損失のため避けたいものです。
【ケース1】
上記1については、忙しい生活の中、人生の1大イベントで不動産の売買を本業の合間にご対応されるので、弊社では主にラインやメールで夜遅くでもやり取りします。日中はみなさん、やはり忙しい印象です。
そして、記録がきちんと残るので、
「言った、言わない、聞いていない」を防ぎ、
「ご質問に対して説明したかな?資料を渡したかな?後日回答の約束はフォローしたかな?」
を後から確認して、丁寧に顧客対応をすることができます。
【ケース2】
2については、物件が良いものであれば、遠方物件でも購入することには価値があります。物件情報も不動産情報サイトから入手することがほとんどです。
そうすると、売主様、仲介会社、買主様、紹介者等、それぞれが、茨城県、神奈川県、埼玉県、東京都というように、居住地や本拠地が分かれるケースがあります。
その場合、上記関係者が集まりやすい場所を探すのですが、中間地点でセッティングすることが多いです。
では、民泊物件として、沖縄等の戸建てを買いたい、遠方のスキー場の近くに別荘を持ちたいという場合は、距離の関係で、途端に関係者の日程調整の難易度が増します。
【ケース3】
3については、昨年中東のイスラム圏在住の海外投資家の御夫婦に千葉県内の物件を仲介させていただきました。
海外でもポータルサイトのアットホームを見ていらっしゃるんです。
日本の不動産は、高収入な海外サラリーマンから見れば安いですし、治安の良さは抜群なので人気があります。
「こんど日本に旅行するので、そのときに買います。」
上記のようなメールを突然受け取った時の半信半疑な私の気持ちが想像つくでしょう。
「高額な物件を本当に買えるのか?通貨レート合ってる?どうやって契約&決済するのか?日本語通じないから、説明は英語か?来日のフライトスケジュールと宿泊地を教えてもらわないと。書類作ったものの、来てから現地見てやっぱり買うのやめた、契約は無し、なんて覆水盆に返らずみたいな結果にならないか?売主様や登記準備してくれた司法書士さんをがっかりさせたら面目ない。そもそもサイン文化で印鑑証明書ないのに、署名サインで所有権移転登記できるのか?」と数々の?が浮かびます。
そこからは、ひたすら密なコミュニケーションです。
意思の確認、物件の説明、書類の確認、身分証明の確認、資金計画と海外送金の確認、登記事務の確認、、、関係者との確認ばかり。
さすが海外の高属性投資家は、英語語学力も確か、弊社からのメールはグーグル翻訳でアラビア語で変換していただき、対応力と理解力の高さにも助けられ、海外取引のノウハウも蓄積できました。
今振り返ると、もし来日されるより前に重要事項説明と売買契約の締結ができたらいいのに。
または、日本の物件を来日時に内見後、購入意思がはっきりしてから売買契約を締結して海外送金にて購入されて、所有権移転登記するのであれば間違いないのに。
というのが、仲介した時の「タラレバ」です。
従来の不動産取引の法令ルールではこれが対応の限界のようです。
上記の取引は、結果、無事取引済んだので良かったですが、ITやDX導入していたら、実はこれらの課題がすんなり解決です。(後述します)
【ケース4】
4.取引における重要事項の説明は、宅建士の専任業務です。近年コロナ禍を境に、実際に対面しなくとも、現物の重要事項説明書を先に郵送しておき、ビデオ通話で双方応答できる環境が整っていれば、重説義務を果たしたとして、宅建業法の運用が緩和されました。
これを「IT重説」というのですが、重説後は、買主様には記名(署名)、押印が必要です。
最低限、宅建士を要する仲介会社と買主様の双方の記名押印があれば成立しますが、商慣習としては、売主様、仲介会社(共同仲介なら2社)、買主様全員に3、4部原本を作成して記名押印し、それぞれが保管します。
上記3のように、海外投資家が買主なら先に海外に郵送しなくていけないルールにしてしまったので、海外では郵便が届かず行方不明になることもあることを考慮すると、円滑な取引ルールからは程遠いです。
さて、重説が済んだら、売買契約です。
遠隔での売買契約の場合は、追跡可能な赤レターパックにて、双方自著、実印を押印して返送し、それぞれ保管します。
書類の郵送は、例えば
物元仲介→郵送1→客付仲介→郵送2→買主様→郵送3→売主様と3回分の郵送がかかります。
そして、売主様、買主様がそれぞれ原本を保管するのであれば、物件価格に応じて所定の印紙を契約書に貼付して割印しないといけません。
ここで負担になるのが、印紙代です。意外に負担が重いです。
軽減税率が適用されても、売買代金が
1000万円~5000万円なら印紙代1万円
10億円から50億円なら印紙代48万円
余談ですが、売買物件が10億円以上になると、日本国内での契約締結せず、海外で契約締結すると印紙を貼付する必要がなくなる解釈のもと、海外で契約締結ケースもあります。
「48万円も印紙代でかかるなら、海外便飛行機代とホテル代に代えて、海外で契約しましょう。」
なんて、いつか言ってみたいものです。
印紙代の負担の最大のデメリットは、契約が合意解除、違約解除、白紙解約になった場合です。
例えば、白紙解約(融資特約付きローンでローン審査が通らず、契約がそもそも遡って無かったことになる)、停止条件付きで停止条件がクリアされずに解約のケースの場合では、印紙に割印押印した以上、契約を解約しても印紙代は戻ってきません。
「もし印紙が不要だったらいいのに」と思いませんか?
次回のブログではこの課題について、弊社の取り組みをご紹介しようと思います。